住民税を滞納してしまった場合でも、すぐに差押えになるわけではありません。
滞納してしまった理由も人それぞれであり、中にはやむを得ない理由で納付ができなかった方がいることは自治体側も認識しています。
自治体に相談すれば、「分納(分割納付)」などの方法で納付することもできる可能性があります。
ただし、分納ができるかどうかは、相談者の姿勢や誠意によって大きく変わります。
ここでは、徴税吏員として実際に対応してきた経験をもとに、分納が認められる人・認められない人の違いを解説します。
分納が認められる人の特徴
分納を認められる人はどんな人なのでしょうか?
それは、自分が納めなければいけない税金に対して、誠意をもって対応していこうとしている人です。
「この人なら信頼できる」と感じる相談者には、共通する行動や特徴があります。
私の実務上、それは以下のようなときに強く感じました。
- 危機意識を持って自発的に行動している
- なんとかしたいと言う意思がある
- 納期限前など、役所が督促する前に自発的に相談する
- 相談日に、納付の計画を立ててから来庁する
- 相談時に、収支の状況を具体的に説明できたり、根拠となる資料を持参している
- 約束した納付日を守る
- 納付が遅れる時があっても放置せず、きちんと連絡する
徴税吏員も同じ人間です。
現場では、せっかく納付計画を立てても、計画通りに納付される人の方が少数派でした。
そういう経験が多いため、「またこの人も納付してもらえないのかな」と若干疑心暗鬼になりながら仕事をしている職員はとても多いと思います。
そんな中で誠実な対応をしてもらえると、やはり良い印象も残りますし、「できるだけ寄り添いたい」・「応援したい」と感じるものです。
実際、そうした関係性を構築できた方には、こちらも信頼感を持って柔軟な対応を認めたケースが多くありました。
分納が認められない人の特徴
一方で、分納が難しいと感じる方にも、やはり特徴があります。
それは、上記のような分納が認められるような人と反対の行動を取ったり、反対の考えを持っている人です。
つまり、自分が納めなければいけない税金に対して、誠意をもって対応していこうとしていない人です。
いくつかの共通点があります。
- 過去に何度も納期限を過ぎている記録がある
- 督促状を発送しても反応がない
- 「払いたくても払えない」と言い訳を繰り返したり、開き直る
- 他の支払い(ローンや娯楽費など)を優先している
- 連絡が取れない、または嘘をつく
- 「税金を払わないとどうなるのか」を軽く見ている
- 約束を守らない
税金は、収入や家族構成、生活環境などに応じて課税されるため、原則として「払えない額が課される」ことはありません(もちろん例外はありますが)。
多くの方が生活が厳しい中でもきちんと納期内に納付している現実を踏まえると、
「払えなかった理由」は、法的にも実務的にも正当化できる理由とはなりません。
80歳になるのに仕事を掛け持ちして必死に納付をしようとしている人を私は知っています。
そういう人を知っていると、滞納してしまったことを都合のいいように言い訳し、自分に責任がないかのように振る舞う人や「とりあえず連絡すればいいや」、「払える時に払えばいいや」と滞納している事実を軽く考えている人は、どうしても良い印象を持つことはできないでしょう。
私の経験上、分納が認められないケースでは、本人の誠意や責任感が欠けていることが多く、結果的に差押えへと進む傾向があります。
納税相談の時に、「あ、この人は約束を守らないな」と思った人は、納付の約束が不履行となったときにすぐに差押えに進めるように、裏で準備していることもあります。
体験談:納税相談で印象に残ったケース
徴税吏員として納税相談を受けていた頃、ある方が「払える時に払う。とりあえず今日は千円払う」と提案してきました。
しかし、これから新しく発生する税金や、滞納となっている税金の金額を考えると、とても分納を認められる計画とは言えませんでした。収支を詳しく聴き取りしたくても、収支の内訳を把握もしておらず、とても計画をまとめられる状態ではありませんでした。
状況を整理してから、改めて相談に来るように話しましたが、結局約束した日にその方は現れず、滞納となっている税金は納付もなく放置されている状態でした。
これは本人からの納付では解決できないと判断し、やむを得ず勤務先からの給料等の差押えを執行することになってしました。
結果的に勤務先にも滞納していることが伝わってしまうことになり、その人の社会的信用などにも傷が残ることになってしまいました。
分納を認めてもらうためにできること
- 誠実に現状を説明する
- 具体的な金額と支払スケジュールを自分で考え、提案する
- 連絡が来たら必ず対応する
分納を認めるかどうかの判断は、自治体や担当者によって異なりますが、認められない理由ははっきりしています。
特に、「誠実さ」はどの自治体でも共通のポイントになるでしょう。
一時的に約束した納付が難しくても、正直に状況を相談すれば、柔軟に対応してもらえる可能性は高いと思います。
まとめ
住民税の分納は、誰でも自動的に認められるものではありません。
ほとんどの方が同じ条件でも納期内に納付をしている事実があるので、特段の理由がない限り、特別扱いはできないためです。
徴税吏員の立場から見ても、分納を認める最大の条件は「誠実な姿勢」と「約束を守る意思」です。
正直に現状を伝え、計画的に納付を続けることで、差押えなどの滞納処分を回避できる可能性は十分にあります。

コメント