【元徴税吏員が解説】住民税の督促状が届いたら?放置すると差押えに直結する理由

納税

「住民税の督促状が届いたけれど、どうすればいいかわからない」
「少額だから放置しても問題ないのでは?」

実際に徴税吏員として勤務していた経験から断言できるのは、督促状は差押えへ直結する重要な通知だということです。
軽視して放置すると、延滞金の加算や口座・給与の差押えによって、生活に大きな影響が出る可能性があります。

この記事では、督促状の意味、放置した場合の流れ、生活への影響、そして具体的な対応方法までをわかりやすく解説します。


督促状とは何か?届いたら必ず確認すべきこと

法律上の位置付け

督促状は、法律地方税法第329条など)に基づいて自治体が発送する文書です。
「納期限を過ぎても納付がない場合、督促を行わなければ差押えに進めない」と定められているため、督促状の発送は差押えのために必ず行われる手続きとなります。

逆に言うと、事前に役所に相談をして納付の計画がまとまっていても、税金を納め切るまでは法律上発送しなければいけない文書なので、「ちゃんと分割納付する約束をしたのに何で督促状が届くんだ!」とびっくりされないでくださいね。

督促状の内容と確認ポイント

督促状には以下の情報が記載されています。

  • 納付すべき税額(本税+延滞金+督促手数料)
  • 指定された納付期限
  • 支払い窓口や方法

👉 督促状を受け取ったら、まず 金額と期限を確認することが最優先 です。


督促状を無視した場合の流れ

督促状を放置した場合、自治体は次のような流れで手続きを進めます。

  1. 督促状の送達
  2. 期限までに納付が確認できなければ、催告書の送付
  3. 財産調査(銀行・勤務先・年金・保険などへの照会)
  4. 差押予告通知
  5. 預金や給与などの差押え

自治体によって差はありますが、差押えまでの期間は督促状の発送から最短で10日経過後~数か月以内と考えるべきです。

👉 「2.」と「4.」は省略されて、いきなり財産の差押えが執行される場合もあります。


督促状を放置した場合の生活への影響

1. 延滞金の加算

延滞金は納期限の翌日から自動的に加算されます。長期化するほど負担は大きくなり、もともとの税額を超える延滞金が発生するケースもあります。

2. 銀行口座の差押え

預金が突然引き出せなくなり、家計に直接打撃を受けることになります。生活費や家賃の支払いに影響することも少なくありません。

3. 給与の差押え

勤務先の経理担当に通知が届き(徴税吏員が直接勤務先へ訪問することもあります)、毎月の給与から強制的に差し引かれます。結果として、勤務先に滞納が知られるリスクも避けられません。

4. その他財産の差押え

自動車、不動産、生命保険の解約返戻金など、生活に関わる財産も差押えの対象となります。


督促状が届いたときの具体的な対応方法

1. すぐに内容を確認する

納めなければいけない税額・納付期限を正確に把握してください。

2. 支払いが難しい場合は相談する

役所の窓口に相談すれば、以下の制度を利用できる可能性があります。

  • 分納(分割払い):毎月の収入に応じて支払計画を作れる
  • 納税誓約書の提出:支払意思を明確にすることで差押えの猶予を得られる
  • 徴収猶予制度:病気・災害などの特別な事情があれば一時的に猶予可能

3. 放置しないことが最優先

「もう少し待とう」という先延ばしが、最終的に差押えや信用失墜につながります。


よくある誤解と真実

「少額だから差押えはされない」

→ 実務では例え数千円単位でも差押えに至ることはあります。

※私は延滞金のみの滞納でも差押えた不動産の公売を行ったことがあります。

「役所から次の連絡があるまで待てばよい」

→ 督促状そのものが差押えの前提手続きです。放置するほど危険です。

「相談するとかえって厳しくされる」

→ 実際には相談してきた方のほうが柔軟に対応してもらえることが多く、むしろ有利です。連絡がないと「この人は納税する意思がないんだな」と判断せざるを得ないためです。


まとめ

  • 督促状は「差押えの入り口」となる重要な通知であり、法律に基づいて送付される
  • 放置すると延滞金が加算され、口座や給与、不動産などの差押えに発展する
  • 督促状が届いたら内容を確認し、納付が難しい場合は必ず相談すること
  • 誤解を捨てて「行動すること」が、生活への影響を防ぐ最も効果的な方法

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