【元徴税吏員が解説】住民税の差押えはいつ?督促状から執行までの日数と流れ

納税

「住民税を滞納してしまった…。督促状が届いたけれど、差押えまでどのくらい猶予があるの?」
そんな不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。

結論から言うと、督促状を放置すると 最短で10日後から差押えが可能 です。実際には数週間~数か月かかることもありますが、油断は禁物です。なお、ここで解説する流れは 住民税に限らず、固定資産税や国民健康保険税など地方税全般に共通する手続き です。

住民税を滞納するとどうなる?基本の流れ

住民税の滞納から差押えまでの全体像は、法律(地方税法第329条など)に基づき以下の通り進みます。

  • 納期限を過ぎる
  • 督促状の送付(納期限から20日以内)
  • 督促状に記載された納付期限(おおむね10日後)までに納付がなければ差押え可能
  • 催告書・電話督促(省略される場合あり)
  • 財産調査(勤務先・銀行・保険など)
  • 差押予告通知の送付(省略される場合もある)
  • 差押え執行(預金・給与・不動産など)

ポイント:督促状は「差押えの前提手続き」です。放置することが最も危険です。

督促状から差押えまでの日数目安

法律上、督促状が発送された日から10日を経過すると差押え可能です。つまり、最短で10日後には差押えが執行される可能性があります。

例:督促状が5月20日に発送された場合
1日目を5月20日とカウント
10日後は5月29日
5月30日には差押え可能
土日祝の場合は最初の平日(例:5月31日)から差押え可能

実務では次のような幅があります。

  • 少額の滞納:数週間~1か月以内に差押え(迅速対応されやすい)
  • 高額滞納:財産調査に時間がかかり、数か月~半年後に差押え
  • 財産が把握済みのケース(給与・預金):早期に差押え
  • 財産調査が必要なケース(不動産・動産):時間を要する

ポイント:「差押えまでどのくらいかかるか?」は、自治体の方針・滞納額・財産状況で大きく変わります。

差押えが実行されるケースとされにくいケース

差押えが早いケース

  • 預金口座や給与情報がすでに把握されている
  • 少額でも滞納を繰り返している
  • 納付や相談の意思が確認できない
  • 約束した納付計画を守らなかった

差押えが遅れるケース

  • 財産調査に時間がかかる
  • 役所に相談して分納を続けている(約束を守っていれば処分されない)
  • 一時的に徴収猶予が認められている

実務上、少額でも差押えに至るケースは何度も見てきました。

差押えを回避するためにできること

  • 督促状を受け取ったらすぐに確認(金額・納付期限)
  • 督促状の納期限までに完納する
  • 納付が難しい場合は役所に相談
    • 分納(分割払い)
    • 納税誓約書
    • 徴収猶予制度

放置すると「納付意思なし」と判断され、差押え対象になりやすいです。

まとめ

  • 住民税を滞納すると、督促状を経て差押えに進む
  • 督促状発送から最短10日後に差押え可能
  • 実務では数週間~数か月かかる場合もあるが、保証はない
  • 少額でも差押えは行われることがある
  • 差押え回避には「早めの納付」または「役所への相談」が不可欠

「いつ差押えされるか不安」という方は、迷わず役所に連絡して、具体的な対応を話し合うことが一番の解決策です。

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