【元徴税吏員が解説】住民税の支払期限を過ぎたらどうなる?遅れて払ったときのペナルティ

納税

「気づいたら支払期限が過ぎていた」「少し遅れて支払っても大丈夫?」 住民税の支払いを忘れたり遅れたりすることは、実は珍しくありません。 ただし、“たった数日の遅れ”でも延滞金が発生することがあるため、注意が必要です。

本記事では、元徴税吏員の立場から、支払期限を過ぎた場合に起こる流れや、延滞金・督促・差押えに至るまでの仕組みをわかりやすく解説します。


支払期限を過ぎるとどうなる?流れの概要

住民税を納期限までに納付しなかった場合、次のように進んでいきます。

  1. 納期限を過ぎる(この時点で延滞金が発生する可能性あり)
  2. 納付の確認が取れない場合、自治体で「滞納者」として管理される
  3. 督促状が発行され、10日以内に納付しないと差押え可能な状態に
  4. それでも納付がなければ、差押えなどの滞納処分に移行

④に至るまでの間に「催告書」や「オペレーターからの電話・SMSでの催告」が行われる自治体もあります。

実務的には、督促状の指定期限を過ぎたあたりから差押えなどの滞納処分にむけて本格的に財産調査が始まるイメージです。

そのため、調査完了までの期間は差押えに進むことはあまりないと思いますが、絶対ではありません。

それに、調査範囲には勤務先なども含まれますので、会社などに滞納があることが伝わることになります。

放置している期間が長いほど、差押えに近づきますし、滞納していることを周りに知られるリスクが上がると考えてください。


支払い期限を過ぎると、延滞金はいつから発生する?

延滞金は、納期限の翌日から自動的に発生します。

ただし、1,000円未満の延滞金は切り捨てとなるため、ごく短期間の遅れでは発生しないケースがほとんどでしょう。

たとえば、10日程度の遅れで積み上がった延滞金では1,000円未満であることがほとんどであるめ、加算されないことが多いです。

課税されている金額がとても高額な場合は、短期間でも延滞金が発生する可能性があります。

納期限を過ぎると、毎日未納の本納税額に対して利率を日割り計算されたものが積み上がります。
令和7年の利率は次のとおりです(毎年見直されます)。

  • 納期限から1か月以内:原則 2.4%
  • 1か月を超える部分:原則 8.7%(ただし金融情勢により変動)

延滞金は自動計算されるため、「知らないうちに金額が増えていた」というケースが非常に多いです。

延滞金の詳しい解説は下記の記事でしています。


数日遅れて払った場合でも、督促状は届く?

納期限を過ぎた翌日にすぐ督促状が届くことはまずありません。

この時期は、自治体側は未納となっている人をリスト化し、督促状の発送準備をしている期間になるためです。

通常は次のようなタイミングで処理されます。

  1. 納期限の翌日から数日~1週間後に役所内で「未納者リスト」が作成される
  2. その後、一定期間経過後に督促状が発行される(原則20日以内)

ただし、この①と②の間はタイミングが合わずに行き違いで督促状が送られてくることもあります。

課税されると、最初に届く納税通知書に同封されている納付書を使って納税することになります。
この納付書には納期限が定められていますが、期限を過ぎてもそのまま使える場合が多いです(コンビニ納付など、納付書をバーコードで読み取りする窓口では使えない場合あり。)。
この納期限後の納付があると、自治体側も納付の確認ができるまでに数日かかることがあるため、行き違いで督促状が発送されることがあります。

納付が済んでいれば、督促状が届いても無視して問題無いですが、念のため自治体に確認した方が良いでしょう。「手元の督促状は破棄して構わないです」という話になると思います。

督促状の行き違いを回避するためにも、自治体に連絡をして、このまま納期限を過ぎている納付書を使っても構わないか確認するようにした方が確実です。
場合によっては自治体から新しい納付書(再発行納付書)が送られ、こちらの納付書を使うよう指示されることもあります。

遅れて支払う場合の注意点

納期限を過ぎてからの納付は、督促状が行き違いで届くこと以外にも注意点があります。

万が一延滞金などが発生していた場合は、古い納付書には延滞金分は計算されていないため、本税部分のみしか納付されていない状態になってしまっていることが考えられます。
また、同様に督促状が発送されてからの納付ですと、自治体によっては督促手数料(50円とか100円)をかけられていることもあります。

古い納付書を使うと金額が不足することがあるため、次のような対応をおすすめします。

  • 自治体の窓口または電話で延滞金・督促手数料を含む金額を確認
  • 金額と納付期限が修正された納付書を再発行してもらい、その期限までに納付する
  • 今後の納め忘れを防ぐため、「口座振替」など別の納付方法を検討する

実務上も、「少し足りなかっただけ」という理由で差押えされたケースが少なくありません。滞納額の大小は関係ないのです。

また、完納したと思っていたら延滞金分が残っていることを理由に差押えなどの滞納処分をうけることも考えられますので、自分がちゃんと納付が済んでいるのか、現状を確認することが大切です。


まとめ

  • 納付が済んでいても、行き違いで督促状が届くことがある
  • 納期限を過ぎると延滞金が発生する場合あり(1,000円未満は切り捨て)
  • 古い納付書を使うと督促手数料や延滞金が納め忘れとなっていることがある
  • 納付前に自治体に連絡し、現状を確認することが大切
  • 納付が困難な場合は放置せずに自治体に納税相談することが最善策

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